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この物語はフィクションです26

5月11日


日程調整を兼ねて、獅子奮迅の仕事ぶり。
今年の黄金週間は、3日間も社長が不在だったため、
私は社長に代わって色々な仕事を片付けたのだが。
その連休が終わって、何日か経ってみると・・・
まだ社長が居なかったときと同じ仕事をしている自分がいた。
いつしか私の仕事は以前よりもっと増えていて、
しかもそれが当たり前のようになっていたのだ。

べつに、不服はない。

そういうことなら、仕事は私がすればいい。
仕事は楽しい。
毎日へとへとに疲れてはいるが、
帰宅すると何かの充実感や、充足感のようなものを感じる。
だが、いまのこの状況を鑑みると、正直言ってきつい。


私は今月、数年ぶりにまとまった休みを貰うことにした。
日数も3~5日間と長いが、すでに会社の了解はとってある。

ただし。

私が休んでいる間、他の皆の仕事に支障が出ない程度に、
出来るだけたくさん仕事を片付けておかねばならない。
まず商品の在庫を十分に確保し、いつでも出せる状態にしておくこと。
そして私が担当している色々な仕事については、
他の人に引継ぎできる状況にしておくこと。
このふたつがちゃんとできていなければならない。
それでここのところ毎日、私はこのための作業に没頭し、
夜遅くまで働く日々を送っているところなのだ。

そこへきて、偽りの恋人との連絡。
彼女からは毎日電話やメールが来る。
他人の甘え癖をこれほどわずらわしく感じたのは、生まれて初めてだ。

さらに、休みの間に行く、小旅行の計画や準備。
友人と連絡をとって日程調整をし、
出来るだけ安い飛行機のチケット探し。

そのうえ、悩ましい考え事の数々。
毎日4時近くまで眠れない夜を過ごしている。


本当に疲れた。


でも私は、行かなければならない。
行くと決めたのだ。
行くからには、相応の準備はする。
愛する部下達に迷惑はかけない。
愛する家族にも心配はさせない。
誰にも辛い思いはさせない。

ひとり、不安そうにしている彼女以外には―

「それで、休みのあいだ向こうに行くの?」
「うん、行ってくる」
「ふうん、気をつけてね」
「ああ、大丈夫さ」
「・・・・・・・・・ねえ」
「ん?」
「ううん、なんでもない」
「そう・・・じゃあ、また」
「・・・・・・・・・・・・・」


彼女は恐らく気付いている。
気付かれているが、私は言わない。
言わずに、彼女を置いていく。

私は行く。


本当の友人と、本当の恋人のもとへ。
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