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この物語はフィクションです23

5月2日


昔の自分を呼び覚ます。
このところ私の考え事の時間は、
偽りの恋人についての案件に多く費やされるようになった。
私にとってはあまりに見え透いたことだが、
彼女はあきらかに深い傷を抱え、あまりにたくさんの痛みを―

無自覚に、しかし心のどこかで常に感じ続けている。

私にとって、それを暴くのは至極簡単なことだ。
暴くだけなら造作もない。
私が見たものを、そのまま本人に伝えればいい。
誰かの何かを暴くために殊更に注視したことはない。
ごく普通にものを見て、ごく普通に目に入ってきただけのもの。
わざとに暴いてやりたいなら、それをそのまま言うだけでいい。
言われた方は、大抵ぐうの音も出ない。
だからこそ普段は自粛しているのだが・・・

私ははじめ、彼女に対してその手法を採ろうとした。

だが、それはまったく効果をなさないようだった。
彼女には自分をぞんざいに扱う癖があり、
それは長年の経験によってこの上なく板についてしまっていたらしいのだ。
下手をすると・・・20年近くもそんな風に生きてきたのか?
とにかくその癖のせいで、彼女を傷つける恐れのある指摘、
私が暴こうとするところのものは、ことごとく巧妙にかわされた。
彼女は自分だけを傷つける事実よりも、自分と他人を傷つける自らの捏造を選ぶ。

たとえば・・・

彼女に魅力があるという新しい事実は、彼女を傷つけるだろう。
自らそれを認めた場合、だが。
彼女が恐れるのは期待と裏切りの両方だ。
自分に魅力があるものと思えば、彼女は自分に期待してしまう。
その期待が毛スジほどの小さなものであっても、
期待と名の付きそうなものはすべて耐え難い。
ほんの少しでも期待が裏切られるようなことには、耐えられないからだ。
実際に彼女は、そうした可能性を孕んだものの一切を嫌う。
つまるところ、彼女には・・・・
自分の魅力のなさについてひけらかすより他に仕様がない。
他人の主張を無理に退けてでも、だ。

もはや、正確に暴くかどうかということが問題なのではない。

彼女自身にとって、彼女の嘘はあまりに巧妙すぎるのだ。

傷つけることさえ容易ではない。


昨日はそれをまざまざと見せつけられる羽目になり、
愚かにもまともに食らってしまったわけだ・・・
私はあの後、疲れたから眠ると嘘をついて彼女とのメールを打ち切り、
さてどうしたものか、と今度は友人にメールを送った。
友人は、私を心配してくれたが―

あんたが辛い思いをするような付き合い方なら、
相手の気持ちとか考えないで、ハッキリさせたほうがいいんじゃない?
結構いいトシした人の悩みだよー
内容はどうあれ解決は難しいんじゃないかなあ
将来的に気もないなら・・・なおさらね


うん、正直言って気はない、全然(笑
解決できないかもしれないのもわかってる
傲慢だってのも、よくわかってる
でもやっぱり・・・もう少し頑張ってみたいなあ
もう少し耐えられれば、もう少し違う試みが出来るかもしれない
何もやらずに終わりたくはないな


まあ私だって、あんたと同じ立場なら絶対なんとかしようとするだろうなあ
人の情だからどうしようもないよね
じゃあ、やるだけやってみなよ
愚痴なら聞くよ
だって友達じゃん?
でも、あんまり溜めこまないでね


少なくとも今のところ、私は諦めるつもりがないらしい。

何か、これまでと違った方法があるはずだ。
事実を無味乾燥に伝えるだけでは駄目だ。
そこから逃がさない、目を逸らせさせない、というのも駄目だ。
何か必ず、別の方法が。
なるべく外側から傷つけず、内側の傷を自覚させる方法。
手がかりになりそうなものといえば・・・自分の過去?

昔の私はどうやって自分を克服したのか。
何も考えないよりは、考えた方がいいに決まっている。

出来る限り思い出せ。

あのとき、私は―
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