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この物語はフィクションです21

4月24日


グロリアスレボリューション。
最近、私は仕事のことで悶々としていた。
私が作っている商品の品質を向上させるために、
製造実験をしたいところだったが、なかなか出来ず。

その主な理由は「いまの時期は売り上げが少ないから」というもの。

売り上げが伸び悩むと、色々な弊害が出る。
一生懸命に原料の仕込みをしたところで、
製造する機会が少ないために廃棄せねばならないし、
思い切って製造をしたところで、商品が売れなければこれも廃棄。
私は何よりも、廃棄しなければならないことに責任を感じていた。

いま思えば・・・・

それが悪循環の原因だったのだ。


仕込みすらしないまま、原料を捨ててしまうのは心苦しい。
だからこそ毎週、出来る限り仕込みに精を出してきた。
それにもかかわらず、私は売り上げの低さを気にするあまり、
せっかく仕込んだ原料を製造することができなかった。
売れない時期に商品を作りすぎてしまえば、廃棄することになるからだ。

そのうえ、数少ない製造の機会を生かすこともできなかった。
廃棄を恐れ、製造の機を逃してしまった原料をも、
出来るだけ製造で使い切ろうとしてしまった。
そんなことで、納得できる商品が作れるはずもない。
自分の仕事ぶりが、より一層私を悶々とさせた。

しかし、なんのことはなかった。

いずれにせよ、いまのままでは廃棄を回避することができない。
悩む必要などなかったし、ひたすらに商品を作れば良かったのだ。
それも妥協せずに。
心苦しかろうが何だろうが、納得できない原料は捨てれば良い。
それを使ってしまえば、製造に適した他の原料の機を逃すだけだ。
良い商品を作ることが唯一の道。
どんな状況にあろうと、それが変わることはなかった。

このことを気付かせてくれたのは、最高の原料、その感触だった。


私は今日、意を決して製造実験に踏み切ろうとしていた。
およそ二週間ぶりの決心だ。
実験をするときは出来るだけ同じ状態の原料で、比較可能なものを作る。
もちろん、使うものはすべて最高の状態でなければならない。
それでなくては品質の向上という目的に適わない。
優先的に良いものを使い、そうでないものは無視する。
つまりきちんとした製造実験は、それ自体品質の低い原料の廃棄を意味するのだ。

私は仕込んだ原料のなかから、最も良い状態のものを探した。

重圧を感じつつ、慎重に。

探し当てたものは、文句のつけようがないほど良い原料だった。
すべての感触が、間違えようもない事実を主張していた。
手触り、香り、粘り。
製造において最も信用できるのは自分の感覚だ。
思考ではない。
それに従わなかったときは、必ず結果に悪影響が出る。
誰よりも何よりも精確な道標。
何の脈絡もなくふっと湧いてくる、確信めいたひらめき・・・
久しぶりに最高の原料に触れ、私の感覚は文字通りに鳴動した。

必ず最高のものができる。
絶対に妥協してはならない。
そういう音が、私の体の中でけたたましく響いた。


「つくりたい」


そのときふいに、それが“聞こえた”。
体が軽くなったような気がした。
もう、廃棄を気にしすぎることはない。
その理由はなぜか、気付けばすべてわかっていた。

そして足が勝手に、倉庫の方へ向かう。

使われずに溜まっていった原料がそこにあった。
私は即座にその中身をたしかめ・・・・
そして納得のいかないものを片端から捨てた。
ただ黙々と捨て続けた。
作業が終わったとき、倉庫の中身は半分になっていた。
その次にすべきことは、なぜだかわからないが・・・もう決まっている。

私は社長のところへ行き、話を切り出した。

「溜まっていた倉庫の中身、駄目な原料を半分ほど廃棄しました」
「ふーん、そうか・・・・」
「納得できないものは、全部捨てることにしたんです・・・それでいいですか?」
「お前がそれでいいと思うんなら、まあ仕方ないなあ・・・」
「そのかわり、っていうわけでもないですが・・・」

いつこんなことを思いついたのか、わからない。
わからないが、さらにその次はどうすべきか、
それもやはり決まっていた。

「これからは、製造するときは良いものだけを作ることにしたんですよ」
「へえ・・・・」
「ですから作りすぎたときは、冷凍保存してもらいたいんです」
「ああ、それなら構わんよ・・・使うときは自然解凍すれば大丈夫だ」
「半端なものを保存したり、製造せずに廃棄するよりはマシでしょう?」
「それもそうだな」
「それで・・・あと、良い商品ができたら××社さんにサンプルを送って、売り込んでいただきたいんです」
「おう、いいよ・・・まあ、やりたいようにやってみろ」

あとは作ることだけに専念すればいい。
体が頗る軽い。
純粋に“つくりたい”。


たぶん、何かが少し変わった。
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