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この物語はフィクションです18

4月14日


H氏と、今後の方針について打ち合わせ。
まず、私が会合に出席する意義と目的についてH氏に説明した。
その内容は、こうだ。


会合に出席している名士の面々も、
私と同様、今後若手が参加していくことに必要性を感じている。
しかし、実際名士たちは「若手を参加させたい」と言いつつ、
自分で若手を連れてくるでもなし、何か渋っているようにも見える。
おそらく彼らの考え方は、教育的観点らしき部分に重点が置かれ、
参加してくれるであろう当の若手の自主性については、
あまり考慮していないのではないか。

そのような教育的観点からみたとき、
会合に若手が参加することには様々な危惧が付きまとうはずだ。
立場の違う人々が意見を交わす場所では、若手たちが混乱する恐れもあるし、
自分の会社から若手を参加させる名士にとっては、
「飼い犬に手を噛まれる」事態も、想定されないわけではない。
皆が若手を連れてくることを渋っているように見えるのは、そのせいではないか。

そこで若手である私みずからが、
若手の観点から、若手が会合に参加することの意義について説明する。
そして今後のために、出来るだけ早い段階で若手を参加させていくべきだ、と。
名士たちには、そこをいま一度検討しなおしてもらいたい。
これは私が述べるからこそ説得力を持つ。
経営権というものを早々に辞退し、それが叶ったいま。
私は悪事を企んだところで得をするような立場にはない。
かといって、ただの下っ端でもない。
現在の参加メンバーでこれが出来るのは、おそらく私だけだろう・・・

「・・・ということを考えているのですが」
「なるほど」
「私の認識に誤りがあったら、遠慮なく訂正してください」
「・・・・・・・・」
「お願いします」
「・・・・・・わかりました」


もちろん私の意見には、いま少し見なおすべきところがあった。

第一に、名士たちが若手を連れてくることを渋っている点について。
彼らが渋っていることに間違いはないのだが、
それにはまた別の原因があるのではないか。
つまり「社長ないし上司と部下とが、一緒に会合に出席するのは気が引ける」のだ。
だから、名士たちは自分のお抱えの若手を参加させにくい。
私の指摘は誤りだというわけではないが、
現実にはそちらの方が深刻な問題であろう、とH氏は言った。

「そうか、なるほど・・・そういやたしかにそうですね」
「ですから、一緒に出ることが出来ないということになると・・・」
「何回かに分けてメンバーの入れ替えとか、あるいは回ごとのローテーション・・・」
「ええ、おそらくそうなります」

そして第二に、私がやろうとしていることは、
私が思っている以上に時間がかかるであろうこと。
私は名士たちへの説得を概ね単独で行う方向で考えていたのだが、
もっと長期的に見て、柔軟な方針をとったほうが良いのではないか、と。

「つまり、若手を抱える参加者に直接言うだけでなく・・・」
「・・・・・ふむ・・」
「他の参加者にあなたの意見を浸透させて、多方面から全体の流れを変えるという手もあるわけで」
「ああ・・・そういう手もありますね」

ただ、これを単独でやることについてさしたる問題はない。
会合がそういう場だからこそ、
私はいっそのことひとりでやってしまおうかと思っていたのだ。
しかし他メンバーの影響力を借りた方が結果的にはより早く成果が出るだろう、
とH氏は言い、私もそれに同意することとなった。

そしてもうひとつ・・・

「あのう、ちょっと言い辛いんですが・・・」
「どうぞ、何でも仰ってください」
「新たに若手が参加したところで、皆が会合の意義に気付くとは限らないと思います」
「そりゃあ、もちろんそうでしょう」
「一回出席しただけでは駄目でしょうし・・・」
「でしょうね」
「それで・・・ご不満はないんですか?」
「あのね・・・Hさん」
「・・・はい」

まあ、仕方ないさ。

「あの会合、若手が十人通りかかったら・・・少なくともひとりは立ち止まると思いません?」
「・・・・・・・ひとりぐらいは立ち止まるでしょうね」
「ならそれで十分じゃないですか」
「ええ、そうですね」
「ですから、根気よくやる気ではいますよ」
「・・・・すいません」
「ははは・・・べつに謝るこたないですって」


とりあえず、これで当面の方針は大体詰めた。
H氏は会合の参加者が出来るだけ増えるよう奔走し、私は少しずつ周囲の説得・・・
その間新規の参加者候補についても検討して、
もし心当たりがあれば、彼に参加の打診をしに行ってもらう。
あとは会合に出席して情勢を見ながら、
その後の対応を話し合いつつ活動を続ける、ということになるか。


まあ、ぼちぼちやっていくとしよう。
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