スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

この物語はフィクションです8

3月13日


この足の震えは、誰も知らない。
結局、先日あった取引の申し出には応じることとなった。
出した商品の出来は、まずまず・・・無難、といったところか。
もちろんあんなもので満足する私ではない。
私の商品は、まだ不確定要素が多すぎるのだ。
いくら自信があるといっても、胸を張るには程遠い。
ところが、先日その商品を卸した取引先から妙な連絡があった。

私の商品を、これ以上ない絶品だと言うのだ。

卸し先は私の商品を様々なツテで紹介し、
その評判が頗る良い、と太鼓判を押した。


待ってくれ。

私の商品は、品質の維持・安定という点で発展途上にある。
その旨を再三申し上げたのだが、先方の宣伝の勢いはついに収まらなかったのだ。
私の自信の無さについてなど、まったく理解して貰えなかった。
おそらく発注はまた来るだろう。
これまでと同じはずの自分の責任が、より重く感じられるようになった。
しかしまだ大々的に売り始めたわけではない。
いまなら、まだ多くの時間を精進に費やすことが出来るか・・・

・・・と、思っていたのだが。

駄目だ。


さしあたりの売り先として、単発の催事に商品を出していた取引先が、
間髪いれずに次の発注をまわしてきた。
先方は、うちに発注した数の商品を確保してもらえるかどうか、
非常に心配していたようだった。
つまり、出来るだけ出してもらいたい、ということか。
それは先方での売れ行きが良いことの証でもある。
だが販売してばかりでは、私が商品の研究をするための時間がなくなってしまう。

そればかりか・・・

軽い気持ちで、うちの会社がごく少量商品を出していた別の小売店。
そこから商品を買ったさらに別の業者が、新たな取引の申し出をしてきた。
たまたま私の商品を買ったのをきっかけに、慌ててうちの会社に取引を申し出て来たのだそうだ。
おそらくこの業者とも、新しく取引することになる。
申し出を受けた社長の対応を見ると、良い感触らしい。

これが嬉しくない、はずはない。

だが、一体誰がわかってくれよう!
私の商品は、私は、まだ発展途上なのだ。
その発展途上の商品がどんなに高い評価を受けようとも、
私は手放しで喜ぶことが出来ない。


それに・・・・

何か、私の周りで大きな動きが起きつつあるような気がする。
私はただ、ひたすらに仕事人でありたいだけなのに。

私が果たせる責任など、たかが知れている。
私の仕事場である小さな作業台の上ですら、私の思い通りにはならないのだ。
私の商品が売れれば売れるほど、高い評価を受ければ受けるほど、
その責任は具現化して私の肩にのしかかってくる。
だからなおさら、私は小さな作業台の上だけで責任を全うしたい!

その願いもむなしく、事はどんどん大事になっていく、のか?

恐ろしい。


正直なところ、私はとても恐ろしい。

私はただ、ひっそりと商品を作りたいのに。
このままでは、それすら叶わなくなってしまう。
誰も私を放って置いてはくれなくなる。

それが、何より恐ろしい。

・・・・恐ろしい。


この震える二の足を、誰に見せられよう。
スポンサーサイト

コメント

今のお前の状況が他のひとから見てどうか なんてことは分かってて言ってんだろうから深くは突っ込まん。
使いべりされて飽きられて捨てられる事の無い様願う。

ファイト! 冷たい水の中を 震えながら上っていけ~♪

けっ わかってらァ

やってやるよ畜生・・・
歓びの野は遠し、か

喜んでる奴らと一緒に喜べるなら、
おそらくそれが一番良いんだろうが

ああ、無理だな やるしか無ぇ
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL

http://quicksand.blog28.fc2.com/tb.php/353-7f974153
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。